妄想性障害|こころの病気のはなし 一般編

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心の病気の種類

妄想性障害

● 症状

妄想性障害は、1つまたはそれ以上の妄想が1ヵ月以上持続する障害です。特徴は、妄想の内容が奇異ではないこと、すなわち、実生活において起こりうる内容であることです。例えば、誰かに命を狙われている、嫌がらせをされている、好意を寄せられているなどです。妄想の内容によって、いくつかの類型に分けられています。

 

被害型

もっとも典型的なタイプです。自分に何らかの被害が及ぼされると妄想しています。妄想性障害の被害妄想は、統合失調症のそれとは対照的に、明快で理論的、被害のテーマがしっかりと体系化されています。しばしば不満感、刺激されやすさ、怒りを伴い、妄想の対象を攻撃したり、裁判を起こしたりすることもあります。

 

嫉妬型

配偶者や恋人、愛人などが不貞をしていると信じ、激しく嫉妬する妄想です。通常男性に多く、突然出現する傾向があります。時に強烈な嫉妬心にかられて、自殺や他殺に至ることさえあります。

 

被愛型

通常、自分より社会的地位が上の人が、自分を愛しているという確信を抱く妄想です。このタイプの患者さんは、社会的、職業的機能がそれほど高くなく、社会から孤立し、引きこもりがちです。妄想の相手が愛を否定しても、「すべては愛を秘密にするため」と解釈する「逆説的行動」と呼ばれる行為をとります。

通常、女性に多いタイプですが、男性にもみられます。男性は、愛の遂行のために暴力に走る危険性を持っています。患者さんの中には、自分の愛に相手が応えないことに恨みや怒りを持つ人もいます。いわゆるストーカーとなり、妄想の対象者につきまとって攻撃することがあります。その人の家族や恋人なども攻撃の対象になり得ます。

 

身体型

自分には身体的な障害があると確信している妄想です。妄想の内容はさまざまですが、主に以下の3つに分けられます。

  1. 虫にたかられているという妄想
  2. 身体の形態異常、身体の一部が不均衡に肥大しているといった醜形妄想(醜形恐怖症と近い)
  3. 体臭や口臭が強すぎるという妄想

発症が早く(平均25歳)、男性に多いとされています。独身で精神疾患の治療歴がない傾向もあります。最初に受診するのは皮膚科や形成外科、泌尿器科などで、そこから紹介されて精神科に来ることよくあります。

 

誇大型

自分は卓越した才能や見識を持っている、重大な発見をしたなど、壮大な内容を妄想するタイプです。

 

混合型

2つまたはそれ以上の妄想主題を持っているタイプです。

 

特定不能型

上記のいずれにも該当しない妄想の場合、特定不能型と分類されます。

 

● ほかの病気との関係

せん妄との違い

せん妄の症状にも妄想が含まれますが、意識水準の変動と認知障害が現れる点で妄想性障害と異なります。

 

アルツハイマー型認知症との違い

アルツハイマー型認知症は初期に妄想がみられ、妄想性障害と似ていることがありますが、認知障害が現れる点で異なります。

 

アルコール乱用との違い

アルコール乱用は妄想性障害に伴う特徴ですが、妄想性障害はあまり幻覚が起こらない点でアルコール誘発性精神病性障害と異なります。

 

統合失調症との違い

妄想性障害は、統合失調症の妄想とは違い、実際に起こりうる内容の妄想が主症状です。また、妄想以外に統合失調症と共通する症状はありません。

 

● 原因

妄想性障害の原因は今もって不明です。しかし、妄想性障害の人は、この障害に関連した性格(例:疑い深い、嫉妬深い、秘密主義など)が多くみられるようです。また、家族にも妄想性障害がみられる確率が高いことがわかっています。

 

● 治療

妄想性障害の患者さんは、一般的に治療を拒否する傾向があります。医療機関を受診するのは、家族に無理やり連れてこられるか、事件を起こして警察関係者と一緒に来ることが多いとされています。

精神療法を行う場合は、集団療法より個人療法のほうが効果的です。

通常は外来治療ですが、場合によっては入院が必要になります。例えば、精神疾患以外に身体疾患があるかどうかを精査する場合。あるいは、妄想と関連した自殺や他殺といった暴力行為を制御する能力を評価すべき場合。妄想に基づいた行動によって家庭や仕事の場で順調な能力を果たせないか、対人関係を安定させられないために専門家の介入が必要な場合です。

激しく興奮した患者さんに対しては、抗精神病薬を投与することもあります。大規模な臨床治験はありませんが、ほとんどの臨床医が、妄想性障害の選択薬として抗精神病薬を挙げています。

 

妄想性障害の経過は、約50%が寛解、20%が軽快、30%は不変です。予後がよい患者さんの特徴は、仕事や社会の適応水準が高いこと、女性、発症年齢が30歳以下、突然の発症、症状の持続期間が短いことが挙げられます。被害型、身体型、被愛型は、誇大型や嫉妬型に比べると予後がよい傾向があるようです。

 

 

※参考文献

『ICD-10 精神および行動の障害 臨床基準と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト 日本語版第3版』(メディカルサイエンスインターナショナル)

 

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